商品の売買や金銭貸借などの契約を未成年者と行う場合には注意が必要です。
未成年者には法律による保護が手厚く、未成年者が単独で交わした契約については取消が認められているため、契約の相手方は一方的に損害を被ることがあります。
例えば、未成年者にお金を貸した場合でも、未成年者がそれを使い切った後で契約の取消を宣言すると、未成年者の返済義務は無くなります。つまり、合法的に踏み倒しをされるようなものです。
(未成年者の親権者の同意書を得るか、連帯保証人の設定がしてあれば回収は可能になります)。
この未成年者の契約取消権は民法第5条2項に定められています。
またこの取消権の時効は5年間(民法第126条)とされているため、未成年者が20歳になったときから5年間(もしくは契約時から20年間)は取消権が有効に存続します。
例えば、18歳の未成年者に商品を販売して、長期間の分割支払いをしてもらう契約をした場合も、20歳の成年年齢に達してから5年間(25歳時)は契約を取り消しされるリスクがあるということです。
そのような不安定な契約を避けるためには、親権者の同意を得た(親権者を連帯保証人とした)契約書を作成するのが最善です。
何らかの事情で親権者の同意が得られなかった場合には、未成年者が20歳に到達した時点で債務の承認をしてもらうべきです。この債務承認を行えば取消権の時効が中断(民法第147条)され、契約は確定し取消はできなくなります。
この債務承認の手続には、債務承認弁済契約書を作成するのが有効です。
口約束でも契約は有効ですが、事実証明ができないために相手方が不誠実な対応をしたときには対抗できなくなってしまいます。
そのようなリスクを予防するために、必ず契約書は作成した方がよいです。契約書は後から作成しても有効なので、相手方の協力が得られる内に作成するのが鉄則です。
未成年者が単独でも有効な契約が出来る例外としては、婚姻した未成年者や会社の営業権を授与された未成年者の規定があります。これらについては、成人と同等として扱われるため、取消権の心配はありません。