金銭消費貸借契約書
単純なお金の貸し借りに関する契約書を作成する場合は、その表題は金銭消費貸借契約書となります。商行為での契約であれば消滅時効は5年であり、民事上の契約の場合は消滅時効は10年となります。
金銭消費貸借契約書も借用書も、契約書としての性質は同じです。借用書は1部だけ作成して貸主が保管することが多いですが、金銭消費貸借契約書は2部作成して貸主と借主の双方が保管します。
契約手続としては、貸主と借主の双方が契約書を保管する形の方が厳格となります。
相手方を信用して無条件で貸している状態であっても、金額が大きかったり、返済までの期間が長期に渡る場合は、金銭消費貸借契約書を作成しておくのが無難です。
相手方の経済的事情で、返済が滞るような場合は、契約書がない分の返済は後回しにされがちです。
金銭貸借の契約書を作成する際の注意点
お金の貸し借りについて契約書を作成する場合には、2つの注意点があります。
1つは、契約書の内容が法律の要件を満たしていることです。
せっかく金銭貸借の契約書を作成しても、そこに書いた文言が足りずに法律の要件を満たさない場合は、契約書自体が無効となってしまい役に立ちません。
もう1つは、確実に返済がされるための条件が定めてあるかということです。
(言い換えれば、確実に回収が出来るための条件設定をするということです。)
必要最低限の契約文言が書いてあるだけでは、借主が返済遅延を起こしたときの対策が講じてないと、実際に問題が生じたときに何もできません。
支払い期限を過ぎても、何の罰則も定めていなければ借主にはダメージがありません。
そんな契約内容だと、返済は後回しにされてしまうリスクが高くなります。
市販されている契約書式を使えば、法律の要件や回収を図るための最低限の条件はクリアできるでしょうが、お金の貸し借りについての個別の事情までは反映できません。
もし、返済が遅れるようなことがあれば、どのような回収手続を図るのかまでを考えて契約書を用意しておくべきです。
最終的には裁判でも通用する内容に仕上げておく必要があります。
金銭貸借の要件
お金の貸し借り(金銭消費貸借)の契約については、民法の要件を満たさなくてはいけません。
民法第587条
消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
この民法の条文から、金銭貸借については「返還をすることの合意」と「実際に金銭を受け取っていること」が要件になります。
つまり、金銭を受け取っていない状態で契約だけをしても無効ということです。
先に現金を渡してしまうのが不安であれば、現金を渡すのと契約書の締結を同時に行うのがベストということになります。
また、返済期限を定めない場合は、状況によってはお金をあげてしまう贈与という解釈をされてしまう危険性もあります。
そのため、返済義務のある金銭貸借の契約であることを明確にするため、返済期限の合意があることも要件となります。
返済期限を契約書で定めるのは、最初から返済の催促をするようで嫌だという奥ゆかしい考えで期限を書かない人もいるのですが、それだと契約の要件を満たさないということにもなりかねません。
返済期限がなかなか決められないケースもあるでしょうが、それでも契約書には明確な期日を記載するべきです。
もし、契約書に定めた期日になっても返済ができない場合は、その時点で再度話し合いをして、改めて返済期日を延長するための契約書を作成するか、裁判手続を経て差押を検討することになります。
確実に回収を図るための条件を定める
金銭貸借の契約書を作成する目的は、お金を返してもらうことを前提に貸したという事実を証明するだけではなく、実際に返済がされるように手を尽くすことにあります。
簡易的な借用書の雛形では、金銭貸借の事実証明は出来ますが、返済期限が守られなかった場合の回収手続までは考慮されていません。
借主の返済する意識を高めるためには、やはり返済が滞った場合の罰則を決めておくのが有効です。
また、最終的には裁判を経て強制執行をするという手続きが必要になるので、それに備えた契約文言も入れるべきです。(契約違反が発生した際には、裁判を経ずに差押をできるようにしたい場合は公正証書を作成するのが最善です。)
分割返済の場合は、返済遅延を起こしたら残額を一括返済するためのとりきめ(期限の利益喪失)も必要です。
その上で、返済遅延が生じたら罰金として遅延損害金を請求することも定めておく方がよいでしょう。(遅延損害金は利息制限法の範囲内で定めなくてはなりません。)
借主に預貯金や貴金属等の資産があることがわかっている場合は、それを担保として設定することもできますが、借主が貸主に無断で資産をつかってしまわないように一定のルールを設けることも検討する必要があるでしょう。
口約束で貸したお金が、何かと理由を付けて返済が先延ばしにされるような場合は、返済を猶予する代わりに金銭消費貸借契約書を作成することを条件とすると良いでしょう。
また、お金を借りる借主にとっても、立場が弱いことにつけこまれて、不当な請求を受けないよう契約書を作成しておくメリットはあります。
契約金額が多額になる場合は、金銭消費貸借契約書を公正証書にするという方法もあります。
公証役場で作成する公正証書は、裁判の確定判決と同様の効果が期待できるので、期限までに返済しない場合は、裁判を経ずに強制執行(差し押さえ)をすることが可能です。
その公正証書の威力を背景に、確実に返済を意識付けるという効果を見込めます。
尚、強制執行の効力を発揮するには、公正証書に「強制執行認諾文言」を付け加える必要があります。
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当行政書士事務所では、法的効力のある借用書(金銭消費貸借契約書)の作成を日本全国対応で承っております。
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