金銭貸借について、契約書を作成する場合には返済期限を明確に定めるのが常識です。
しかし、知人と少額の貸し借りをする場合は、期限について特に定めないことも多々あります。
このような返済期限がどのような扱いになるのかを、以下に解説します。
返済期日を明確にしている場合(確定期限)
例えば「2010年12月31日」とか「毎月20日まで」というように、期日を明確にして返済を約束する場合を、確定期限を定めた返済契約といいます。
この指定期日までに返済が行われない場合は、借主の契約違反となります。このような契約違反を予防するため、罰金である遅延損害金を設定したり、返済遅延を起こした場合には残額を一括支払いする義務の設定(期限の利益喪失条項)をして対処します。
遅延損害金や期限の利益喪失は、予め契約書に定めておく必要があります。
返済期日に一定の条件を設定する場合(不確定期限)
予備校に通うため奨学金を借りて、「資格を取得したら返済する」と約束するケースは、資格取得の時期が不確定のため、不確定期限の返済契約といえます。
このような不確定期限の契約は、資格取得という条件が成就したときが返済期限となります。
もし、いつまでも資格取得ができない場合は、予備校を退学するなど資格取得を諦めたことが明白となった時点が返済期限となります。また、資格取得以前に受験資格を喪失したり、借主が死亡して資格取得が不可能となった場合も、返済期限が到来したことになります。本人が死亡した場合は、債務の保証人が設定されていれば、保証人に対して返済の請求ができます。
返済期日を定めていない場合
返済時期を定めない金銭貸借の契約は、貸主が気を揉むことが多いものですが、こうした契約は貸主が請求を行った時点で借主に返済義務が生じます。(民法591条)
期限の定めが無い金銭貸借は、貸主が相当の期間(通常は1週間程度)の猶予を与え、その期間が経過した場合は返済期限が経過したものとみなされます。
内容証明郵便で、1週間後の期日までに返済するように請求すれば、返済期日はその指定日に確定します。
つまり、返済期日を定めない契約は、実は貸主が自由に期限を指定できるので、貸主に有利な契約ともいえます。
(但し、契約書に担保や連帯保証人が定めていない場合は、借主に経済力が無いと結局は返済不能となってしまいます。契約時に借主が返済できない場合の対策を定めていないと、後から取立てをするのは厳しいものです。)