借用書について
お金の貸し借りに関して、最も簡易に用いられるのが借用書です。
借用書は借主が一方的に金銭貸借の事実を認め、その返済を誓約する証書です。通常は原本は1部のみで、貸主がそれを保管します。
借用書のメリットとしては、借主が単独で証書を作成することができて、即時に準備できるところにあります。
もちろん借用書でも金銭貸借の契約が成立したことの証明にはなりますが、借主が原本を保管しないなど、軽んじられる傾向にあるのも事実です。
金銭の受け渡しを急いだため、簡易な借用書しか作成しなかった場合は、後日に改めて金銭消費貸借契約書を作り直すという対策もあります。
金銭貸借の金額が大きかったり、返済までの期日が長い場合は、貸主と借主の双方が契約書を保管する形の金銭消費貸借契約書を作成し直すことをお勧めします。
滞納した場合の罰則などを定め、実印を押印し、契約書の原本を双方で保管するという形を取ると、契約を守らなくてはならないという動機付けができます。
借用書を用意する場合の注意点
借用書とは、お金の貸し借りの事実証明を行うための文書であり、確実に返済をしてもらうための条件を定める契約書です。
つまり、お金の貸し借りの金銭貸借についての契約書のことであり、金銭消費貸借契約書と同義になります。
契約書の表題(タイトル)は「借用書」でも「金銭消費貸借契約書」でもよく、効力の違いはありません。
大事なのは表題ではなく、契約書に記載する条件であり、契約文言の内容ということになります。
その金銭貸借の契約書を作成する場合には、2つの注意点があります。
1つは、契約書の内容が法律の要件を満たしていることです。
せっかく金銭貸借の契約書を作成しても、そこに書いた文言が足りずに法律の要件を満たさない場合は、契約書自体が無効となってしまうこともあります。
もう1つは、確実に回収を図るための条件が定めてあるかということです。
必要最低限の契約文言が書いてあるだけでは、借主が返済遅延を起こしたときの対策が講じてないと、実際に問題が生じたときに何もできません。
支払い期限を過ぎても、何の罰則も定めていなければ借主にはダメージがありません。
そんな契約内容だと、返済は後回しにされてしまうリスクが高くなります。
市販されている借用書の書式を使えば、法律の要件や回収を図るための最低限の条件はクリアできるでしょうが、お金の貸し借りについての個別の事情までは反映できません。
もし、返済が遅れるようなことがあれば、どのような回収手続を図るのかまでを考えて契約書を用意しておくべきです。
最終的には裁判でも通用する内容に仕上げておく必要があります。
金銭貸借の要件
お金の貸し借り(金銭消費貸借)の契約については、民法の要件を満たさなくてはいけません。
民法第587条
消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
この民法の条文から、金銭貸借については「返還をすることの合意」と「実際に金銭を受け取っていること」が要件になります。
つまり、金銭を受け取っていない状態で契約だけをしても無効ということです。
先に現金を渡してしまうのが不安であれば、現金を渡すのと契約書の締結を同時に行うのがベストということになります。
また、返済期限を定めない場合は、状況によってはお金をあげてしまう贈与という解釈をされてしまう危険性もあります。
そのため、返済義務のある金銭貸借の契約であることを明確にするため、返済期限の合意があることも要件となります。
返済期限を契約書で定めるのは、最初から返済の催促をするようで嫌だという奥ゆかしい考えで期限を書かない人もいるのですが、それだと契約の要件を満たさないということにもなりかねません。
返済期限がなかなか決められないケースもあるでしょうが、それでも契約書には明確な期日を記載するべきです。
もし、契約書に定めた期日になっても返済ができない場合は、その時点で再度話し合いをして、改めて返済期日を延長するための契約書を作成するか、裁判手続を経て差押を検討することになります。
確実に回収を図るための条件を定める
金銭貸借の契約書を作成する目的は、お金を返してもらうことを前提に貸したという事実を証明するだけではなく、実際に返済がされるように手を尽くすことにあります。
簡易的な借用書の雛形では、金銭貸借の事実証明は出来ますが、返済期限が守られなかった場合の回収手続までは考慮されていません。
借主の返済する意識を高めるためには、やはり返済が滞った場合の罰則を決めておくのが有効です。
また、最終的には裁判を経て強制執行をするという手続きが必要になるので、それに備えた契約文言も入れるべきです。(契約違反が発生した際には、裁判を経ずに差押をできるようにしたい場合は公正証書を作成するのが最善です。)
分割返済の場合は、返済遅延を起こしたら残額を一括返済するためのとりきめ(期限の利益喪失)も必要です。
その上で、返済遅延が生じたら罰金として遅延損害金を請求することも定めておく方がよいでしょう。(遅延損害金は利息制限法の範囲内で定めなくてはなりません。)
借主に預貯金や貴金属等の資産があることがわかっている場合は、それを担保として設定することもできますが、借主が貸主に無断で資産をつかってしまわないように一定のルールを設けることも検討する必要があるでしょう。
以下のようなケースでお悩みの方へ
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このようなケースでは、金銭貸借の契約書を作成しておくと万全です。
当行政書士事務所では、法的効力のある借用書(金銭消費貸借契約書)の作成を日本全国対応で承っております。
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当サイト運営者(行政書士・遠山桂)は専門誌等にも寄稿しています
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