傷害事件や不倫などのトラブルがあって、加害者が損害賠償金を支払うことで解決を図る事例は数多くあります。
身体的・精神的・経済的に損害を受けた場合には、民法709条・710条に基づいた損害賠償請求が可能になり、加害者が侵害賠償金の支払いをすることで和解を図ります。
こうしたケースで加害者に経済力が無い場合には問題が起きます。
加害者が過ちを認めて賠償するつもりがあっても、加害者の収入が少なくてまとまったおカネを用意できないと損害賠償金の支払いができません。
おカネが無いところからおカネを徴収することはできないのです。
しかし、それで損害賠償金を払わせないのは「逃げ得」を許すことになってしまいます。
それはあってはいけないことです。
そこで現実的な対応として、損害賠償金の分割払いを認めることを考えるしかありません。
加害者との話し合いで、月にいくらまでなら支払いが出来るか確認し、その支払い可能な月額で分割払いの契約書を作成するわけです。
こうした損害賠償金の分割払いを認める契約には示談書や債務承認弁済契約書を作成することになります。
分割払いの危険性としては、支払いが長期間になるため途中であいまいになってしまうことです。口約束や簡単な自作の契約書ではそのリスクが高くなります。
分割支払いが滞った場合には、裁判を提起した後で強制執行(差押え)をするという対策があるのですが、法的に通用する形式で契約書を用意していないと裁判をすることが困難になります。
裁判に勝つことが出来れば相手の給与口座や不動産を差押えすることができるので、その強制力をバックにして月々の支払いを誠実に継続させる動機づけが可能です。
トラブルが発生した相手とは、通常は信頼関係も崩れているものですから、分割金の支払い遅延が起きたときにも連絡を取るのは億劫なものです。
そうしたケースも想定して、問題が起きたときにはすぐに裁判が出来るだけの準備が必要です。
そのためには支払い条件や遅延損害金、支払いを怠った場合の対策をしっかりと定めた契約書を作成し、添付書類として印鑑登録証明書も用意するべきです。
また、支払い遅延が起きた後の裁判手続をスキップしたい場合には、契約書を用意する段階で公正証書を作成するという選択肢があります。
公証役場を通じて公正証書を作成した場合には、支払い遅延が起きた場合に裁判を減ることなく強制執行が可能になります。
損害賠償金の金額が大きかったり、支払期間が長い場合には、公正証書を作成することを和解の条件とするよう交渉するのがよいでしょう。
当事務所では、このような債務承認弁済契約書や公正証書の作成をサポートしております。