お金を貸した相手が失業や事業の失敗で経済的に苦しくなって、約束通りに返済がされないという金銭トラブルはよく起こります。
お金を貸す際に、借用書や金銭消費貸借契約書を作成していれば、それを証拠資料にして支払い督促や裁判などの法的対応をすることは可能です。
その契約書の内容がしっかりとしたものなら、恐らく裁判に勝つことは容易でしょう。
しかし、裁判には勝てても、お金の無い相手からお金を取ることはできません。
預金残高0円の通帳を差し押さえしても、そこからはお金を引き出すことはできないのです。
結果として、回収不能になってしまう可能性は高いというのが現実です。
そこで、まず債務者には次のような対処を求めることになるかと思います。
支払いの悪い債務者に求める対処
・自動車や貴重品など、換金性のあるものは売却させる。
・生命保険等に加入していたら解約して返戻金を得る。
・自己所有の不動産は売却させる。
・消費者ローン等で借り入れをして返済させる。
・家族や友人、勤務先等に借り入れをするよう促す。
こうした資産も無く、家族等にも信用を無くしていて、全くお金を用意できないケースもあるかと思います。
その場合は、長期分割の条件で、何年かかっても返済を継続してもらうしかありません。
誰もお金を貸したがらない相手には、連帯保証人になってくれる人はまずいないので、わずかな金額でも毎月返済する契約をして、本人に返済させることになります。
支払いの悪い相手に請求することに疲れてあきらめてしまえば、いずれ債権は時効によって消滅してしまいます。(民事債権の消滅時効は10年です。)
また、借主が自己破産をしたら、債権は消滅して基本的には回収が不可能となってしまいます。
それでも、破産後に借主が返済する気があるなら、事後に契約書を締結して債権を復活させることは可能です。
このように借主の資力がなく、回収が相当に困難なケースでも、「貸したお金の返還を請求する権利(債権)」は温存しておきたいと考えるなら、すぐに相手方に返済義務を認めさせる債務承認弁済契約書を作成しておいた方がよいでしょう。
新たな契約書を作成して、現時点での債権を確定しておけば、借主の月々の収入から返済を請求することは継続できます。
債権を温存しておけば、借主の経済状況が良くなったときには、一括返済の期待が出来るかもしれません。
借主が相続を受けるときには、その相続財産を換金して返済にあてることも検討できます。
借主が死亡したときは、遺族に債務の相続を請求することもあります。
こうした可能性は確率の低い賭けかもしれませんが、あきらめてしまえば、その時点で実質的に債権は放棄することになります。
潔く損切りをして債権放棄をするか、低い可能性であっても債権を温存して請求を続けるか、貸付をした方の判断しだいということになります。
このようなケースでの債務承認弁済契約書の作成についても、当事務所ではサポートしております。