貸したお金がなかなか返してもらえない場合には、粘り強く交渉して返してもらうか、それとも裁判などの強制的手続きを行って回収を図るかしか方法はありません。
そのどちらも難しいということなら、回収を諦めるという選択になってしまいます。
まずは交渉で返済を約束してもらう
返済を遅らせる相手(債務者)と交渉を続け、「必ず返す」という返答を得たなら、金銭貸借の事実証明をする契約書(借用書)を作成しなくてはいけません。
この段階で口約束だけで終わらせてしまうのは、とても危険です。
過去に貸したお金を返済するための条件を定めるには、債務承認弁済契約書を作成するのが最適です。
こうした契約書を作成しておけば、債務者が契約書で定めた期日までに返済をしないときには、その契約書を証拠資料として裁判による回収を図ることが可能になります。
債務者が返済の話し合いに応じない場合は、裁判所での強制的な手続きを検討する段階となり、支払い督促や通常訴訟を行うことになります。
交渉が成立しない場合には裁判所を通した手続
債務者がお金を借りた事実を認めていて、その金額についても争いが無い場合には、簡易裁判所で手続をする支払い督促制度が利用できます。
債権者がこの支払い督促の申立てを行い、債務者が異議を申立てしなければ差押が可能になります。
(債務者が異議申し立てをすれば、通常訴訟に移行となります。)
債務者との間で返済する金額について合意ができていない場合には、通常訴訟で争うことになります。
債権額(訴額)が140万円以下であれば簡易裁判所が管轄となり、140万円を超える場合は地方裁判所で手続きを行います。
(債権額が60万円以下であり、証拠が全て揃っている場合には、簡易裁判所で1日で判決の得られる少額訴訟制度もあります。)
支払い督促や裁判には契約書などの証拠が必須
ただ、支払い督促や訴訟などの裁判所の手続では、証拠が用意されていることが前提になります。
口約束だけでは証拠能力が不安定なので、金銭貸借の要件を満たした上で、返済期限が到来したことを証明する契約書が必要になります。
また、仮に裁判に勝ったとしても、差押の手続きは債権者自身が行わなくてはいけないので、債務者の財産(銀行口座情報や不動産の地番)については事前に把握をしておく必要があります。
債務者に全く資産が無い状態で裁判を行うと、その裁判に勝ったとしても結局は回収不能になることもあるのです。
このように裁判所の強制的手続きをするにも、契約書を用意しておくことと、銀行口座情報を把握しておく必要があります。
裁判には数ヶ月の時間を要することも多く、その間に債務者が逃亡してしまうリスクもあり、即応性には欠けてしまいます。
話し合いで返済条件を決めて、債務承認弁済契約書で確定させる
裁判は手間も時間もかかるものであり、やはり気軽に利用するというわけにもいきません。
そこで、裁判にも通用する債務承認弁済契約書(借用書)を用意して、万が一の場合には裁判をすることを相手に意識させつつ、誠実に返済をしてもらうことを動機付けるのがベストな選択と言えるでしょう。
契約書を作成する段階で、その手続を公証役場で行って、公正証書を作成すれば裁判をしなくても差押が可能になるという方法もあります。
公正証書の作成は実印や印鑑登録証明書などを用意し、公証役場で契約内容の精査を行うため、手続きとしては厳格なものになります。
当事務所では、当事者間の債務承認弁済契約書の作成と、公証役場での公正証書作成のサポートを承ります。