起業資金や事業の運転資金を親から援助してもらうことは多いものです。
家族で会社の経営を支えていくためには、そうした努力も必要です。
ただ、資金の援助が贈与なのか、それとも融資(金銭貸借)なのかが決算時期に問題になってきます。
この起業や事業運転の資金援助が贈与とみなされる場合には、税務署に贈与税を支払わなくてはなりません。
年間110万円を超える贈与については、下記の速算表に基づいた贈与税が徴収されます。
(年間110万円までは非課税ですが、毎年110万円づつ贈与しているような形にすると脱税と判断されるリスクが高まります。脱税行為には追徴課税があるので注意が必要です。)
贈与税の速算表
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | - |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,000万円超 | 50% | 225万円 |
例えば、資金援助(贈与)の金額が1,000万円の場合は、贈与税の金額は下記の通りになります。
・基礎控除後の課税額 1,000万円-110万円=890万円
・贈与税額 890万円×40%-125万円=231万円
※贈与額が1,000万円では、贈与税額は概算で231万円となります。
なお、贈与税の時効については下記の通りです。
・期限内に適切に贈与税の申告を行っていた場合・・・3年
・贈与税の申告を行っていなかった場合・・・5年
・贈与税の脱税行為をした場合・・・7年
親からの資金援助が金銭貸借である融資の場合には、贈与税の対象にはなりません。
但し、金銭貸借には返済義務があり、長期間の分割返済には銀行金利と同程度の利息を付けなくてはいけません。
(無利息の金銭貸借では、税務署から贈与と判断される可能性が濃厚となります。その場合は贈与税の追徴課税が行われます。)
金銭貸借の場合には、その事実証明のために金銭消費貸借契約書を作成しておく必要があります。
分割返済の場合には、銀行ローンでも一般的な元利均等方式で利息計算をして、その年利は1~3%程度とするのが無難です。
返済計画書も同時に作成しておけば、返済と利息の償却状況が確認できるので、証明の際には都合が良いです。
また、実際に返済をしていることも証明しなくてはいけないので、貸主である親名義の銀行口座に入金をしていくと良いでしょう。
法的にも通用する体裁の整った金銭消費貸借契約書を用意して、銀行口座で返済履歴も確認できるようにすれば、これは金銭貸借となるので贈与税を請求されることはありません。
金銭消費貸借契約書や利息の償却状況を把握するための返済計画書の作成については、当事務所にて下記の料金で承っております。
・金銭消費貸借契約書 15,000円
・返済計画書 10,000円
金銭貸借に関する契約書作成はについては、実績豊富な当事務所にお任せください。